脳に届く共通のダイレクトメッセージ

なかなか眠れない日があったり、色んなことを考えたりと、皆さんありますよね。

近年、世界中の多くの人々が社会生活の中で恐ろしい経験をしていると訴えている――。

■TI(ターゲット個人)とは?

まず、経験者はすべて同じ現象を報告する。頭の中で話しかけてくる声を聞き、「電気や電磁波を使った拷問」に苦しみ、政府からの組織化されたストーキングの対象となっているという。彼らは自分自身を「TI(Targeted Individuals、ターゲットにされた人)」と呼ぶ。

 

この「TI」のコミュニティは、英国や米国だけでなくカナダ、ドイツ、イタリア、スペイン、そして日本と多くの国々に存在している。それは既にグループでなく、「コミュニティ」と呼ぶべき規模にまで拡大している。

今回紹介するビデオには、英国のTIコミュニティのミーティングの様子が撮影されている。英国TIコミュニティのリーダーであるマイルズ・ジョンストンは、一見ごく普通の初老男性だ。しかし彼は、自宅に小さなスタジオを設置し、そこから世界中のTIの人々に発信を行う。彼によると、彼の放送には1300万人ほどの視聴者がいるという。

米国カリフォルニア州にも、陰謀説に基づいたニュース専門のラジオ局「Coast to Coast AM」があり、数百万人のリスナーが存在する。

また、TIのFacebookのフォーラムやサポートグループもさまざまな活動をしており、自分たちの考えを聞こうとしない不憫な家族や友人のこと、また自宅の付近を偵察する謎の黒い車や職場における陰謀を連日連夜、語り合う。拡大するTIコミュニティには、あらゆる職種の人が存在し、中にはエンジニア、兵士、芸術家、そして弁護士や医者もいる。

米国のTIコミュニティは非常にアクティブで、資金集めのキャンペーンを行い、裁判所や議会でも戦おうともしている。例として、昨年カリフォルニア州のTI信者たちがマインド・コントロールに使用されている宇宙兵器禁止の決議を起こすように市議を説得した。同じような運動は、アリゾナ州でも進行中だ。

このビデオの中でTI被害を訴えるイギリス人のフィオナは、何者かに電磁波を照射されるため、家を移動し続けなければならないとインタビュアーに話す。

彼女は電磁波を避けるための鉛でできた重いエプロンや帽子、身体を覆うアルミホイルを常に持ち歩いている。最近ではどこに行っても電磁波の照射から逃れられないので、ついに貸し倉庫の部屋で眠るありさまだという。

また、イギリス人のキーレン・リーはTIコミュニティの主要メンバーだが、体内にインプラントが埋め込まれていると訴える。彼はインプラントを取り出すためにMRI撮影までしたが、医者は彼の体内は全く正常だと言い、精神科医に会うことを勧められた。

さらにショーンという男性は、自分の留守中に自宅に何者かが侵入し、愛犬を傷つけ、家の外壁タイルを何度も割られたと報告する。そして彼もまた、自分の身体にはインプラントが入っていると訴えている。

彼らのようにインプラントが身体に埋め込まれていると主張する人たちは、それを取り除くために手術で肉を切除することも試みる。フィオナはマイクロチップを取り出すために、医者に指を切開してもらったと語る。そしてキーレンは医者が手術を拒んだので、自分でうなじ部分を切開したのだ。

■社会現象としてのTI

米国の同時多発テロ事件以来拡大しているTIコミュニティは、少なく見積もっても1万人以上と見られる。このコミュニティはインターネットによって拡大し、政府の監視に対し恐れを抱いている。

精神科医によると、このコミュニティの人々には妄想性障害や統合失調症を抱える患者が多いという。また別の専門家は、何千人もの精神的な問題を持つ人々が一緒になり、彼らの妄想を真実と認めさせるコミュニティを形成することは憂慮すべき事態であり、計り知れない危険をはらんでいると警告する。

集団ストーカーの唯一の研究者と思われるロレイン・シェリダン博士は、彼らには他のグループとは別の危険性があると指摘している。シェリダン博士はこれを「エコーチェンバー」現象と呼ぶ。「エコーチェンバー」現象とは、閉じられた空間で同じ意見の人だけが集まり、話し合っているうちにそれが共鳴し合い、絶対に正しいことだとメンバー同士で信じてしまう現象を指す。シェリダン博士は法医学精神科医デビッド・ジェームズ博士と共に、128の「集団ストーカー」例を実際に検討したが、すべてのケースでそれはほとんど妄想であったと結論づけた。

TIコミュニティの中にも派閥が存在する。彼らは自分たちの「敵」として、金融エリート、宇宙人、フリーメーソン、そしてそのいくつかの組み合わせを信じている。しかしTIコミュニティの中で最も有力な説は、世界的支配のために政府が行っているマインド・コントロール・テストだ。1950年代と60年代にCIAが行った悪名高いプログラムである「MK Ultra(MKウルトラ)」が今なお継続中だと彼らは考えている。

精神病を抱える人々の大部分は暴力に頼らない。それでも研究は、精神病を経験している少数の人、特に妄想思考が敵対的・攻撃的な衝動に陥る可能性があると示唆する。

一例として、ニューメキシコ州で検察官をしていたマイロン・メイは、自分はTIだと主張するビデオを残し、2014年にフロリダ州立大学で3人を射殺し、自分も警察に射殺された。

ビデオの中で彼は自分がガソリンスタンドに行った時、自分の行動を鏡のようにまねする謎の黒メガネの男に遭遇したことを例に挙げ、自分は集団ストーカーされていると訴えていた。そして「御覧のように私は全く正常だ」とビデオに言い残した後で、事件を起こしている。

一体なぜこれだけ多くの人が自分はTIだと主張し、同じ症状を訴えるのだろうか。

TIコミュニティの人々の多くは精神に異常を来していると思われ、友人、家族から見放され、仕事や家を失うケースも多い。しかしインターネットの世界では、このような症状を持つ他の多くの人々とつながり、自分は孤独ではないと安堵できる。ビデオに出てきたTIの人々にとって、自分の信じる陰謀説をほかの人に認めさせることがまるで彼らの人生の目標のようにさえも見える。彼らをパラノイアとあざけるのは容易だが、私たちの誰もがTIコミュニティに入る可能性を秘めているのだ。

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