大戦機なぜ米では現役?戦後70有余年、いまだムスタングなどが普通にとんでいるワケ

いつ、いかなる時に備えてとありたいが、日本は大丈夫か。

日本国内に残る戦時中の飛行機というと、もはや博物館に鎮座する数機程度があるくらいですが、アメリカではいまだ大戦機が普通に飛んでいるうえ、レースまで開催されています。この差は、戦争の勝敗や気候の違いだけで生じるものではありませんでした。

真珠湾攻撃のデモチームまで存在する飛行機大国

昨年(2017年)、旧日本海軍の零戦が日本の空を飛び話題になりましたが、その零戦のオーナーは、維持費が高額なため売却を決意したと報じられました。また、2018年3月24日(土)にリニューアルオープンする岐阜県各務原市の「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」には、世界で唯一現存する旧日本陸軍の三式戦闘機「飛燕」が展示されることになりますが、このように機体の展示はあるものの、旧日本軍の軍用機をレストアし再び空に飛ばすのは、いまの日本では難しいようです。

飛行機大国のアメリカでは、大戦機(ここでは第二次世界大戦期の軍用機のこと)がエアショーに登場します。B-29、B-17、B-25などの爆撃機、P-51、P-40、P-38などの陸軍機、F6F、F4U、TBFなどの海軍機など多くの軍用機が登場し、ショーを盛り上げます。敵役として日本軍やドイツ軍の戦闘機が登場することもあり、そしてレプリカの日本軍機で真珠湾攻撃のデモを行う「TORA! TORA! TORA!」というデモチームまで存在します。

なぜ、これほどまでにアメリカでは大戦機が飛んでいるのでしょうか。

飛行機が特別なものではない「文化」とは

何と言ってもアメリカは飛行機大国です。国内に空港は1万3000か所以上あり、広い国土には航空網が発達しています。また多くの人が飛行機の免許を取得しており、自家用機を所有することは特別なことではないようです。日本と比べると、ずいぶんと飛行機の文化が進んでいる国と言えるでしょう。

そしてアメリカには、ゼロ戦を展示しているプレーンズ・オブ・フェイム航空博物館など大戦機の保存展示を行うミュージアムや財団も多くあり、収集やレストアを行っています。

飛行機のレースも盛んで、P-51ムスタングやF8Fベアキャットを改造したレース機も登場します。

そのような背景があるアメリカでは、大戦機を飛ばすこと自体は珍しいことではなく、ごく普通のことだと言えます。

そして週末には、全米のいずれかの空港や軍事基地では必ずと言っていいほどエアショーが開催されており、大戦機も登場しています。

つまるところは「飛行機好き」が飛ばしている?

先ほどの「TORA! TORA! TORA!」は、ナショナリズム高揚や戦争を賛美するためではなく、歴史の教訓としてショーを行うといいます。その意義を果たしたいとして、映画やドキュメンタリーに参加しているようです。

スタッフに「日本軍を演じることをどう思うか?」と聞いてみたところ「私たちは、あれだけのことを成し遂げた彼らをとても尊敬しているし、このデモを行うのを誇りに思ってるよ」と答えてくれました。

大戦機を飛ばすのは、「強いアメリカを象徴する行為」というよりは純粋に飛行機好きが「昔の軍用機をレストアして飛ばしたい」ということのようです。

このように多くの大戦機が現在でも飛ぶアメリカですが、ライバルとしてかつて活躍した日本の名機が、いまは難しいかもしれませんが、レストアして自由に日本の空を飛んで欲しいものです。

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