この宇宙には数え切れないほどの銀河が存在します。それらの銀河は、数百億から数千億もの星と大量のガスが重力で結びついた巨大なシステムです。銀河の形状には楕円形、円盤形、不規則形など様々なものがあり、中には中心部が非常に明るく輝く「活動銀河核」を持つものもあります。では、銀河の中心には何があるのでしょうか？気になりますよね。しかし、そんなことを知ったところで私たちの生活に直接役立つわけではありません。それでも考え始めると気になって仕方がないのは、私たち人間が持つ「知的好奇心」のなせる業です。
最近の研究で、多くの銀河の中心には数百万から数十億太陽質量の超大質量ブラックホールが存在することがわかってきました。ブラックホールとは、その強力な重力によって光すらも逃げ出せない時空領域のことです。太陽の約20倍以上の質量を持つ恒星が進化の果てに超新星爆発を起こし、その残骸として形成されるのが恒星質量ブラックホールです。銀河中心の超大質量ブラックホールは、中心部で大量に生成された恒星質量ブラックホールが合体を繰り返して成長したものと考えられています。活動銀河核では、巨大な重力源に向かってガスが落ち込む際に、その重力エネルギーが熱に変わり、強力な熱輻射を発生させているのです。
私たちの住む銀河系の中心には「いて座A*」という非常に小さな電波源があります。この「いて座A*」周辺の恒星が非常に高速で回転していることから、ここにも約400万太陽質量の超大質量ブラックホールが存在することが示されています。意外なことに、銀河系中心のブラックホールはその大きさに比して非常に暗いのです。これはブラックホールに落ち込むガスの量と、その重力エネルギーを熱に変換する効率が関係していると考えられています。
電波望遠鏡を用いたスペクトル線観測を通じて銀河系中心の活動性について研究。分子や原子は特定の周波数の電磁波（スペクトル線）を放射し、ガスが運動しているとそのスペクトル線の周波数がドップラー効果によって変化します。これにより、宇宙空間のガスの物理状態や化学組成、運動状態を知ることができます。最近の観測結果では、現在暗い銀河系中心核が過去には非常に明るかったことを示す証拠や、将来再び輝くための燃料となる回転ガス円盤が発見されました。つまり、私たちの銀河系も中心核が輝く時期があるのです。他の銀河を見て「住みにくそうだな」と思うのと同じように、他の銀河からも私たちの銀河系がそう見られているのかもしれません。
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